CF撮影ルポ by Yushi Ebihara
『リンゼイにはエレガントな美しさが漂っていた』
7月11日(火)
真っ白いキャデラックに乗ってさっそうと登場・・・。
今日は、ロッテアーモンド・クランチチョコの撮影日。
撮影現場はロサンゼルス近郊。マリブ・ビーチにあるコテッジ。
契約によるとリンゼイの仕事は午前8時30分過ぎから、となっている。
8時頃、真っ白いキャデラックとともにリンゼイとセクタリーとボディガードの運転手がやってきた。
彼女は撮影前にコロムビアのスタジオで会った時とまったく変わりなり質素な麻のワンピースにサンダルをはいて、腕にはいつもの子犬を抱いてさっそうと現れた。
(略)
何度もリンゼイの動きに合わせて、コテッジテラスの上を行き来きする。
やがて、リンゼイの表情が生き生きと輝いてきた。
(略)
撮影は順調に進み、午後1時にはすべてが終わった。
午後はビバリー・ヒルスのスタジオでスチール撮影。
(略)しばらくして、彼女が私を呼んだ。
Lindsay「私、コマーシャルの仕事って初めてなの。だから、とっても神経質になってしまうわ。
私の方から見るとクルーの人たちが目に入って集中できないの。プロダクトショットの撮影が終わるまで、休ませてくれないかしら」
リンゼイにとって、なるほどコマーシャルの仕事は初めて。(本格的なコマーシャルの仕事)
これは後になってわかったのだが、彼女にしてみれば人一倍の興味を持って仕事をしていたのだ。
日本人のようにコマーシャルだからといって簡単にすませたくないリンゼイの意気込みをつくづく感じた。
リンゼイとの契約では1日8時間。待っている間に時間はどんどん経過してしまうではないか。
Lindsay「待ってもいいわ!その代り4時間くらいで撮影を終えてくれるかしら?」と条件を出してきた。
その結果、スチール撮影は7時から始まり深夜までおよんでしまった。
帰りがけに時計を見ると12時を過ぎていた。
白いキャデラックからリンゼイが手を出し「See you tomorrow」と言い、
私は「See you this morning」と言って別れた。
7月11日はリンゼイにとっても、われわれロッテのスタッフにとっても、最初にして一番タフな1日であった。
すっかり、暗闇に包まれたビバリー・ヒルズの林の中を子犬の鳴き声とともに去っていくキャデラックのテールランプを私はほっとした気持ちで見送った。