7月12日(水)
水曜日の朝は、ロサンゼルス市内にある大きな公園グリフィス・パークで明けた。
そこには、ロッテの主力商品ガーナ・ミルク・チョコレートの撮影に使用する1936年製のメリーゴーランドが今でも回り続けているのだ。
昨日はテレビとスチールの撮影を同時に行ったが、今日はディーラー・ミーティング用に16ミリのフィルムとテレビ・コマーシャルの撮影とを同時に撮影する。
リンゼイのリムジン・バスはあるじを待ってクーラーの音を響かせている。
彼女は、やや眠そうな目をして今日も質素なワンピースで現れた。
まず16ミリの撮影が行われる。(略)
メリーゴーランドのまわりには、子供たちがいっぱい集まってきて大変な人気である。
ロサンゼルスでは彼女のテレビシリーズ(バイオニック・ジェミー)が6時半からオンエアされている。子供向けの番組なのだ。だから特に子供には人気があって、子供好きの彼女はくったくなくサインに応じている。
いよいよテレビ(撮影)の本番である。メリーゴーランドがまわり始めると、リンゼイの髪が風に揺れてとても美しい。
いつもテレビで見ているリンゼイのキャラクターと違って、静かな女らしさがよく出ているのだ。
静かな、フェミニンな美しさの方がリンゼイには似合っているのではないだろうか。
時々、一緒に木馬に乗る少年少女に向って見せるお茶目なふるまいが、自然な女リンゼイを感じさせる。
以前、私と一緒に仕事をしていた第一企画ニューヨークのペギー・ラポイントが言った言葉を思いだす。
「ニューヨークの女たちの半分はリンゼイのように振る舞い、あとの半分はファラ(ファラ・フォーセット)のように装うのよ」
リンゼイのような現代アメリカが生んだ自然でそれでいてインデペンデントな女性は、アメリカばかりでなく日本でも待ち望まれているのだろう。